14時現在残り7252㎞、速度は880㎞/時、高度10700m、外気-62度。銀翼に日がさしている。
銀翼の春の光の白きこと
眼下にシベリアの銀世界が広がり大きな河がゆったりと流れている。エニセイ川に違いない。
春光や白き大河のうねり行く
17時、おやつにおにぎりが出た。梅入りだ。これはうまい。シベリア鉄道が見えるというので移動しようとするが、日頃スリッパ裸足のジジには慣れない靴が入らない。やっとこさで下の見えるところまで行ったが既に雲の中だった。スリッパで来るべきだった。
18時半。ジュースとチョコレート。あと3時間という。ガソリンも食べずによく飛ぶものだ。進行方向は西南だ。
20時。相変わらずモスクワ上空。ロシアは何という広い国だ。あと2時間半。福岡から札幌くらいある。それにしてもワルシャワ近くを通ってわざわざフランクフルトに行ってまた戻るのだ。ジジには途中下車出来ない理由が分からぬ。
悠久の平和を思う地球春
21時夕食。たまご、しいたけ、ごぼうのたきこみご飯。小さいパン。ビヤを注文すると黒ビールが来た。うまい。兎に角食べるのが仕事だ。
22時すぎ、あと27分のコール。現地は7度。オーバーが要りそうだ。
22時30分ジャスト、フランクフルト着。ドイツだ。ヨーロッパだ。ワルシャワ行きの乗り場まで歩く。ここで日本時間を8時間戻して現地時間を14時45分とする。長い一日だ。様々の色をした人々がいる。しかし静かな待合室だ。何処かの国の待合室のようにせかせかとはしていない。
肌の色春模様なりエアポート
15時45分手続き、16時23分離陸。半分は空席だ。今回も銀翼だけが良く見える座席だ。ジャンボと違ってエンジンがすぐ近くで親しみやすい。
早春の飛行機雲の真下飛ぶ
16時35分、また食事が来た。パン、サラダ、肉、ケーキ、ミネラルウォーター。もちろんビアを注文。
日に五度の機内食来る日永かな
17時52分、ポーランド・オケンチェ空港着。そこは雪国だった。
降り立てば春の雪なりポーランド
ここでまたハプニング。空港を出ようとして足止めなのだ。どうも書類が足りないといっているようだ。お坊さんが手振り足ぶりインド口調で、そんな書類はもらってないと説明するが、釈迦に説法、馬耳東風。キリスト教国なのにイエスと言わぬ。ノーコメント。みんなは口開けポーランド。
ややあってビザがないからだめだ、ここで書けば通すという。ガイドブックを頼りに書いている仲間の書類を横目で見ながら、何とか胡麻化したジジババだった。みんなで今覚えた一言「ヂェンクウィエン(ありがとう)」をいって通してもらった。
野も山も国境なしに春の雪
ワルシャワにて >
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