ドイツへ

 3月21日。晴。霜。5時にジジ起床。5時15分我輩は別荘で朝寝している所を呼び戻される。食糧の在り場所やベッドの位置の確認をして見送り。

ジジババの旅を見送る彼岸かな

 ところが5時50分に迎えに来てくれるはずの定善寺のお坊様の車が来ない。一度昼間に打合せに来てくれたことがあるが、何しろ田舎のことだし、朝は早いしとやきもきしていると、それらしい車が大通りを右往左往している。ジジババがしきりと手を振るが、明るい相手は見えても闇の中の此方は見えるはずもない。ややあって土地勘を取り戻したお坊様の車が到着。6時5分。
 福岡まで40分と計算していたが、信号が全て青に見え、速度制限はよく見えない奥の細道だったので、25分で福岡空港に着いたそうだ。見送り車でつけていた高2の知馨与(ちかよ)ちゃんのお母さんは、途中ではぐれてしまったのは言うまでもない。これがハプニングツアーのオープニングであった。
 7時の荷物検査でババの持つ防水スプレーが、飛び道具並みにブーブーとひっかかったのでジジは笑ってしまった。7時10分搭乗、38分離陸。一路成田へ。気がつくとジジは北国へ行くのにオーバーを忘れていた。ババは笑うのを忘れてあきれていた。

残雪の竜王越えてドジの旅

 8時15分朝食が来る。といってもレーズンロールとエッグサラダの菓子パン。ビールと言いたいところをぐっと我慢してオレンジジュースを注文したジジだった。
 9時2分成田着。旅行社の森田さんの出迎えを受け、パスポートを受取り、空港使用料とやらを2040円払って出国審査。10時35分出発予定の5分前にD51ゲートからルフトハンザ機へジジたちは乗り込む。だがお坊様たち3人はお土産の買物に行ってくるという。何しろ国際線を何回か止めたという強者だから全然慌てた様子は無い。仏様がついているからだろう。
 45分移動開始。11時2分離陸。左から3、4、3人がけの座席はほぼ満席だ。目的地まで9378㎞、所要時間11時間だという。速度830㎞/時、高度7000m等と表示が出る。だが進行方向は東の太平洋側を指し、目的地までの距離は段々増えていく。もしかしてハワイ経由かと疑ったが、段々と方向を北にかえ、北海道当たりから西に向いたのでジジは安心した。
 11時50分おやつ。魚の形をしたクラッカーだ。ワインは赤。辛い。ババは白。すっぱい。ここでもビールはパス。
 1時昼食。ここでビールを注文。ビールといっても通じない。ビヤでやっとメイドイン・ドイツ・BECKSが来た。口当たりは軽い。330㏄だったが適量だ。ご飯、魚の煮物、フランスパン、茶ソバ。全てジジ好みだ。ついでに大空からの散糞尿という壮大なる実験。黄金の雨として作物への幸便となるのだ。

シベリアの空より春の便り出す

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