あとがきに代えて

1997年、ブッダガヤである土産物屋に出会った。
商人には警戒度マックスで臨むところだが、彼は違う雰囲気を持っていた。
「ジャイビーム」という仏教徒の証であるあいさつの言葉を発し、「元不可触民でした」と私に明かしたのである。
心を許した私は、まとまった量の土産物を彼から購入。
すると彼もいろんなものを勧めてきて、ホテルにまで押しかけてきた。
マハボディ寺の仏足石の拓本。西洋紙だったので「和紙のものはないか?」というと、ほどなく和紙で持ってきたのはビックリだった。
1枚1USD。今、日本で手に入れようとすると数万円。少し後悔しているところである。

数年後、日本のTV番組でインタビューされている彼を見た。
ヒンズー教徒だという。
完全に騙されていたことを知ったのはこの時である。
印象深い人であったので、顔も名前も覚えている。
インド商人のしたたかさには底がない。

1998年頃にサイトを立ち上げてこの旅行記を公開。
当時のインターネットはアナログ電話回線で、一枚の写真にもかなりの時間を要した。
桁違いのブロードバンド化が進んだ2014年、改めてサイトを再構築してみた。
写真はネガからスキャン。なかなかいい写真もあるではないか。
若いころの駄文を読み直しているうち、またインドへの思いが沸々と沸き起こってくる。
時間があれば、また何度でも行ってみたいインドである。

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